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贈与税の申告

贈与税はお金や物などをタダで個人がもらった場合等に課税される税金です。

例えば、相続税対策の一環として、親が生前に子へお金をあげるケース、子が知らないうちに親が子名義で預金を行うケースなどがよくあります。

実はこれらのケースには注意が必要です。将来、子が安心して過ごせるようにという想いからお金をあげた場合であっても、その想いとは関係なく税金が課税されてしまうことがある、それが贈与税であり、そして相続税の補完税と呼ばれる理由です。

近年、同族会社様(いわゆるオーナー会社様)が、相続対策・事業承継対策の一環として、オーナー様個人・ご親族等の所有する自社株移転を行うことがありますが、自社株の評価等が適正ではなかったとして税務署から追徴課税を受けるケースが見受けられます。

なかでも、自社株を移転する個人・自社株を受ける法人、自社株を受けた法人の株主に対して課税される「トリプル課税(=所得税・法人税・贈与税が一気に課税される)」と呼ばれるものには特に注意が必要です。

贈与税とは?

贈与税とは

贈与税とは 毎年1月から12月の1年間に「個人」からお金・モノなどの財産をもらった場合において、そのもらった人の金額の合計額が一定額を超えるときは、そのもらった人に対して課税される税金です。

贈与税の確定申告

贈与税の確定申告

2. 贈与税は、原則としてその財産をもらった人が、そのもらった年の翌年2/1から3/15までに税務署へ確定申告と納税を行うことになっています。贈与税の計算方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。

暦年課税(原則)

暦年課税(原則)

暦年課税とは、財産をもらった1人につき、1/1から12/31までの1年間でそのもらった財産の合計額が110万円を超える場合、その超える金額に対して段階的に決められた税率等で課税する計算方法をいいます。

この1年間でもらった財産金額の合計額が110万円以下の場合は、贈与税は課税されず、確定申告も不要となります。

贈与税と相続税の関係

贈与税と相続税の関係

相続税は、亡くなった人の財産を配偶者や子などがもらった時に課税される仕組みになっています。

贈与税という制度がなければ、相続発生前、つまりお亡くなりになる前に配偶者や子などに財産すべてを贈与してしまい、相続発生時に課税対象の財産をゼロとして相続税が課税されないというケースも十分想定されます。

国としてはこのような対策を防ぐ方法の1つとして「贈与税」を設けています。

また、贈与税の税率は相続税の税率に比べると高い税率になっている点も、贈与税が相続税を補完する理由の1つといわれています。

6. 贈与の課税関係

贈与の課税関係

贈与税は個人から個人へと財産が移転した場合に発生します。財産をあげる人、財産をもらう人が個人とは限らず、法人の場合も考えられます。

その場合の課税関係を整理すると次のようになります。

財産をあげる人:個人、財産をもらった人:個人 ⇒ 贈与税が課税されます

財産をあげる人:個人、財産をもらった人:法人 ⇒ 贈与税ではなく、法人税が課税されます

財産をあげる人:法人、財産をもらった人:個人 ⇒ 贈与税ではなく、所得税が課税されます

財産をあげる人:法人、財産をもらった人:法人 ⇒ 贈与税ではなく、法人税が課税されます

贈与税はいつまでに納付すれば・・・

贈与税納付期限

贈与税の納付期限は、申告書の提出期限と同じです。

贈与税は納付期限までに、原則として現金で税務署または金融機関に納付しなければなりません。

納期限までに全額納付できない場合は、延滞税がかかります。但し、納付期限までに全額を現金納付することができない場合は、税務署の許可を受けることで特例として延納(5年以内)が認められています。

贈与税がかかる財産とは・・・

贈与税の非課税

贈与税は贈与によってもらった「財産」に対して課税される税金です。つまり、贈与税がかかる財産とは、贈与契約によってもらった財産で、金銭で見積もることのできるものをいい、「本来の贈与財産」、「みなし贈与財産」に分けられます。

本来の贈与財産とは・・・

「本来の贈与財産」とは、贈与契約によってもらった財産をいいます。

みなし贈与財産とは・・・

「みなし贈与財産」とは、贈与契約によってもらった財産でない場合でも、実質的には贈与を受けたことと同様の経済的利益がある場合のその利益や効果をいいます。

本来の贈与であれば、あげる側・もらう側の双方が贈与行為を認識しやすいのに対し、みなし贈与は双方が贈与行為を認識しにくい場合がよくあります。

① 親から子が土地・建物等を時価よりも安く買う場合・・・時価(通常の取引価格)と売買代金との差額

② 親から子が土地・建物以外の財産を時価よりも安く買う場合・・・時価(相続税評価額)と売買代金との差額

③ 土地・建物等を負担付贈与した場合・・・時価(通常の取引価格)と債務との差額

④ 土地・建物以外の財産を負担付贈与した場合・・・時価(相続税評価額)と債務との差額

⑤ 債務免除を受けた場合・・・債務免除を受けた金額

⑥ 一定要件を満たす生命保険の満期保険金・・・(例)被保険者:夫、保険料支払人:夫、保険金受取人:妻、妻が受け取る満期保険金

⑦ 一定要件を満たす生命保険の死亡保険金・・・(例)被保険者:母、保険料支払人:父、保険金受取人:子、母が亡くなった場合の子が受け取る死亡保険金

⑧ 個人から同族会社である法人へ低額譲渡した場合・・・同族会社に低額譲渡した場合、株式等の価額が増加したならば、増加した部分に相当する金額を株主は贈与されたこととなります(相基通9-2)。

最悪のケースでは「トリプル課税」の対象となり、譲渡した個人は「みなし譲渡所得課税」が、譲渡を受けた法人は「法人税受贈益課税」が、同族会社の株主は「みなし贈与課税」と認定される恐れがあります。

非課税となる財産とは・・・

贈与税の非課税

贈与税は、財産が個人から個人に移転した場合に課税されます。つまり、贈与者・受贈者のどちらかが法人の場合には贈与税は課税されないことになります。

しかし、個人から個人へ移転した財産でも、その財産の種類や内容、国民感情、社会的・政治的政策などから鑑みて、贈与税を課税するのは適当ではないものがあります。

次のような財産が非課税の対象となります。

生活費や教育費として通常必要なもの

お中元、お歳暮などの贈答品、結婚式のお祝い金、出産のお祝い金、病気のお見舞い、香典などで社交上必要なもの

※ 相続のあった年に被相続人から財産をもらった場合には、贈与税ではなく相続税が課税されます。

贈与税の計算の仕組みとは・・・

贈与税は、次のように大きく2段階に分けて計算します。

・Step1・・・課税価格の計算

・Step2・・・贈与税額の計算

Step1:課税価格の計算

まず、贈与税がかかる金額がどれくらいあるかを次のように計算します。この贈与財産の計算では「相続税評価額」を使用することが贈与税のルールとなっています。

本来の贈与財産+みなし贈与財産=贈与財産

贈与財産-非課税財産=課税価格

※ 贈与財産の評価は「財産評価に関する基本通達」に基づき計算を行います。この基本通達には様々な評価方法が定められており、土地等(借地権などを含む)、建物、株式、営業権などの評価は特に注意が必要です。

Step2:贈与税額の計算

Step1で計算した課税価格、基礎控除額、税率をもとに贈与税額を計算します。贈与税額の計算方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、基礎控除額と税率が異なります。

(課税価格-基礎控除額・特別控除額(※))×税率(※)=贈与税額

※ 基礎控除額、特別控除額、税率は下記の通り

贈与税の計算

 

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3-1 贈与税の申告って何?
3-2 相続時精算課税制度って何?
3-3 贈与で失敗しない為に知っておきたい4つの知識